
皆様お元気でしょうか。肌寒い冬になっていますが、いつの季節も日本の自然風景は美しく、ふと立ち止まりその景色に見とれることはありませんか。日本に生まれて良かったと感じる「四季」、今は周囲の受験生による「士気」を感じています。
私は、遅くとも15分前には生徒宅を訪問し、軽く談笑しながら場を和ませています。「寒むぅ~」と言いながら部屋に入りますが、まんざら嫌な顔はしていません。そんな顔を見ているとある生徒のことを思い出します。ある年の猛暑だった8月、中学3年の男子生徒の英語を受け持つことになりました。A君は今までクラブに明け暮れ、一学期の期末試験の結果は、英語9点、他の4教科はかろうじて10点台でした。
初回指導時、クラブで真っ黒に日焼けしたA君から追い詰められたような気持ちが、言葉使いや姿勢から伺われました。緊張し過ぎていたようなので、私がいつものジョークを投げかけても、黙ってうつむいたままでした。突然でどう反応したらいいのかわからなかったのだろうと思い、今までで一番受けが良かった2発目のジョークを飛ばすと、机の上にある新しいノートの表紙をめくり、白紙のページを凝視していました。早く始めたいという意思表示だったのでしょう。学習意欲があるのは嬉しかったのですが、心にゆとりがない彼の姿を見て、複雑な気持ちになりました。
授業開始から数週間、指導は順調に進んでいました。1ヶ月程度過ぎたある日、「英語って面白いですね」と彼が言い、私は一瞬耳を疑いました。初回の授業で、「Mr.Brown(ブラウンさん)」を「これは、ミスター茶色と訳すのですか」と質問してきたほど英語が理解できていないA君が、こんなことを言ってくれるとは驚きました。
しかし、内容を進めていくと、あんなに宿題をやってきていたA君に少しずつ変化が起こってきました。毎日短時間でも英語を勉強するように宿題プリントに日付を書き、1週間分を授業の終わりに渡しました。A君にとってそんなに多くはない宿題ですが、1週間後にチェックすると半分もしていませんでした。できないわけではないので、本人に確認すると、授業前にまとめてやっていることがわかったのです。今まで、まともに家庭で勉強していないA君にとって、毎日コツコツ続けることが苦になってきたのでしょう。そこで、1週間分を2回に分けて3日分だけ渡しました。3日後の夜に取りにくるからと言って帰りました。
当日、夜遅くに訪ねたとき、2階から眠たそうな目をこすりながら降りてきたA君は「2日分しかできていません…」と言い、私は「後1日分今からやろう!まだまだ、今日が終わるまでは時間があるから」と励ましました。それから、書いては消しを繰り返しながら宿題を終わらせました。帰る直前、A君はとても満足した顔をしていました。何かを最後までやりきるという達成感を実感させることができたと思います。
その後、毎日コツコツすることができるまで、そんなに時間はかかりませんでした。2学期の中間試験では一気に48点まで伸び、日々の努力なしで目標は達成できないと本人は痛感したでしょう。宿題しかり、受験勉強においても「いつまでにこれをやりとげる」という目標を設けて、そこから逆算し、日々努力することが大切です。それを実行することによって自分で思ってもみなかった力が発揮され大きな成果が得られるのです。
今、私は誇りをもってこの仕事をしています。指導日以外でも近くを通れば、生徒宅を訪れ、声をかけます。その時に時間があれば、できない問題を解くヒントを与えたりしています。その授業外での積み重ねも含めて、生徒や保護者の信頼を得ることができると思っています。
高校・大学受験の結果が少しずつ出始めていますが、私が担当している生徒は、今のところ全員が第一志望に合格しています。本人の笑顔、ご両親の感動の涙を見る度に、指導者としての喜びを改めて感じています。
その一方で、今日も英語の理解に苦しみ、悩み、本来楽しいはずの学校生活が苦痛になっている子供達のことを思うと胸が痛みます。私は言いたい。
「英語はもっと楽しいもので、もっと簡単なものです!」
国を超えて人と人とが仲良くするために必要なコミュニケーションの手段なのです。どんな生徒でも学びの充実感を一度でも感じてもらえれば、それが自信に変わり、家庭教師の時間以外も自ら勉強できるようになると確信しています。
今後も、一人ひとりの生徒との出会いを大事にするのはもちろんのこと、一人でも多くの子供達に勉強する楽しみを教えていきたいと思っています。
福山事務局 教務部 松原佳典 より
上寺先生は、英語を専門に指導されている先生です。その笑顔と親父ギャグにはいつも和ませてもらっています。この前も、「Domestic coffee」をご存知ですかと聞かれ、「家庭のコーヒーですか?」と答えると、Domestic =(家庭の、国内の)といった意味があり、「国内の」→「こくないの」→「濃くないの」、そう「濃くないコーヒー」つまり「アメリカンコーヒー」なんですと教えて頂きました。子供達のうけはどうかと不安でしたが、なんと中2の英語嫌いな男の子に大うけだったようです。それ以来その男の子は、英語のギャクを日夜考えるようになり、今では英語が大好きになっています。
先生の英語嫌いの生徒に対して、苦手意識の壁を取り去ることへの取り組みは、いつも驚かされます。その深い知識と確かな計画性で、多くの生徒の悩みを解消し、得点を伸ばしてくれる上寺先生との出会いは、人生を通じて大きなものになっていくことでしょう。さあ、あなたも一緒に勉強していこう!