いよいよ新しい学習指導要領が、24年4月より中学校で実施されます。前回2002年の改定では「ゆとり教育」をテーマに、途中修正を加えられながらも進められてきましたが、学力低下など様々な問題が提議されました。今回の改定では、かつての「詰め込み型」、前回の「ゆとり型」での反省点を踏まえながら「生きる力を育む」という点は踏襲し、バランス重視、「活用力」養成を目指したものとなっています。
では具体的に中学の学習がどう変わるか、という観点で、この新学習指導要領をみていきましょう。
まず今回の改定では、どの教科においてもより実生活に活用できる方向付けがなされた点が挙げられます。日常生活に即した実用的な知識を増やし、また近年の社会情勢の変化に対応できる基礎力を中学で養っていくことが目的になっています。学習時限数は1週あたり1時限の増、主要教科ではこれまでの1割増となります。教科書によっては厚さが1.5倍くらいになるものもあるようです。では科目ごとにはどうなるのでしょうか。
学習の基礎であり、他の教科の牽引車的役割を持つ国語です。読解力に加え、自分の考えを分かりやすく述べる能力を高めていくことを基本に、「言語力」の養成に主眼が置かれています。漢字では各学年50~100字程度増え、新聞記事やインターネット、レポートなどにも対応する語彙力が求められています。テストでは上記様々な素材からの出題も増えます。内容を理解し、その上で自分自身の考えを制限字数内で表現していく記述式回答型の問題などが増える傾向が予想されます。

これまで通常1~2年で地理と歴史、3年で公民を学習していましたが、今後は3年でも歴史を公民と併せて学ぶ形になります。各教科の内容増に加え、利用される資料数も、新たに670点増えるなど大幅な知識量の増加を目指しています。テストでは、資料の読み取り、地歴の正しい記憶や見識、公民では時事問題などで取り上げられる用語などがポイントとなりそうです。また各科目(地歴公)にまたがった問題も多くなると予想されますので、一夜漬け、付け焼刃的学習では厳しくなります。

小中高を通し、これまでと比べ身の周りの事象と関連付けて学習していくものが増えます。とくに中学では現行の「数と式」「図形」「数量関係」(関数)の3領域に加え、「資料の活用」が復活し、資料やデータを整理、活用し、問題解決能力を高めることが求められます。
テストでは、上記のほかに高校から移行された相似な図形の面積比、体積比や、球の表面積、体積、図形の移動、投影図、不等式を使った説明、二次方程式の解の公式あたりが頻出となりそうです。
現行の1分野上下巻、2分野上下巻の4冊から、学年ごとの3冊となります。ただし内容や授業時数は約30%増え、ここでも単元同士の繋がりや、実生活との関連性も重要視されています。またこれまで扱われていなかった観察、実験結果も掲載されるようになり、従ってテストでは、これまでの出題形式に加え、その結果から、どうしてそうなったか、何がわかったか、などの考察力を問われる傾向が予想されます。また教科書によって単元の順序が違っており、地域や学校間でかなり違った定期テストとなることもあります。
入試変化予測~「知識偏重型」から「活用型」へ~
① 「事象や実験結果」から「仮説を立てて表現する問題」へ
② 仮説と結果を照らし合わせる問題の増加
③ 結論付けた理由を問う問題の増加
計算問題や自分の言葉で説明させる問題が多くなることが予想され、単なる知識の蓄積だけでは対応できない。
グローバル社会に対応していく上で、英語学習はますます重要なものと位置付けられます。新学習指導要領の下、小学校から英語の授業が始まりますが、中学では、高校の「活用型」授業に繋げていくことを前提に「聞く」「話す」中心型から「読む」「書く」が加わったこの4技能を総合的に育成することを目指します。その中で大きな変化は単語数が900語から1200語に増えることです。また基礎となる文法も大切にしながら、日本を含め世界の文化、福祉、人権、環境問題など幅広い分野から多数の素材が教科書に登場します。とくにテストでは長文読解や、自由英作文での表現力に重きを置いた学習が大切になってくると予想されます。

以上、簡単ですが文科省の発表や、業界での評価を基に、私たちなりに考察してみました。ご家庭にお子様がいらっしゃるご家庭だけではなく、教育に興味をお持ちの皆さまにも、これまでの学習指導要領との違いを感じて頂けたのではないかと思います。
「ゆとり教育」と比べると、学習すべき量は明らかに増えており、生徒さんに求められる家庭学習のレベルもお兄さん、お姉さんの時以上に厳しくなると予想されます。
個々の生徒の状況に対応できる私たち家庭教師も今まで以上に必要な存在になるのでは、と感じています。